なぜ、さい子ども会は会費を集めないのか

― 見えにくい社会的価値を大切にする運営の考え方 ー

さい子ども会では、会費を集めない運営を続けています。

この方針について、「なぜ会費を取らないのか」「少しでも負担してもらった方が活動は安定するのではないか」と尋ねられることがあります。

会費を集めないという選択は、運営上の制約ではなく、地域のあり方についての考え方から生まれたものです。

さい子ども会の収支構造について

まず、基本的な収支状況です。

主な収入

  • 廃品回収(資源ごみ回収):約80,000円/年(※年々減少傾向)
  • 町内からの助成金:80,000円/年
  • その他収入(公園トイレ清掃等):約100,000円/年

主な支出(運営費)

  • フリースペース会場費:12,000円/年
  • 印刷費:約5,000円/年

これらを基盤として、収入の大部分はお菓子代・材料費など、子どもたちの活動費に充てています。

一方で、会員数の増加に伴い、一人当たりに使える金額は年々少なくなっているのも事実です。

それでもなお、会費を導入しない理由があります。


子育ての状況は、誰にとっても変化する

子育てを取り巻く環境は、決して一定ではありません。

仕事の忙しさ、収入の変化、家族構成、健康状態など、どの家庭にも、余裕のある時期と、そうでない時期があります。

今は問題なく参加できていても、ある時期には、金銭的・時間的・心理的に余裕がなくなることもあります。

それは特別なことではなく、誰にとっても起こり得ることです。

だからこそ私たちは、「余裕がある人だけが参加できる場」ではなく、状況にかかわらず、同じ条件で参加できる場を地域に残したいと考えています。


参加の前に「考える必要がない」仕組み

会費があると、参加する前に考えることが増えます。

  • 今月は余裕があるだろうか
  • 何回参加すれば元が取れるだろうか
  • 払えないと思われないだろうか

その一つひとつは小さなことですが、積み重なることで、参加のハードルになります。

さい子ども会では、参加する前に立ち止まらなくてよいことを大切にしています。

「今日は行ってみよう」

そう思った時に、そのまま来られること。
それが、会費なし運営の大きな意味です。


線を引かない

さい子ども会が会費を集めないのは、特定の人を支援するためでも、特定の人を優遇するためでもありません。

全員から集めない。

そのことで

  • 払える人/払えない人
  • 余裕がある人/余裕がない人

といった線が、最初から引かれません。

誰も説明しなくていい。
誰も気にしなくていい。

全員が同じ立場で、その場にいられることを大切にしています。


活動費は、助成金を中心に支えられています

基本的な収入に加えて、さい子ども会の活動費の多くは、助成金の申請・採択を通じて賄っています。

お菓子代や材料費、学習活動に必要な備品など、日常的な活動を安定して行うために、外部の助成制度を活用しながら運営しています。

これは、参加者に金銭的な負担を求めず、参加そのもののハードルを下げるための工夫でもあります。


実費負担はお願いすることもある

一方で、さい子ども会では、一律に「会費・年会費」としては集めていませんが、以下のような実費負担をお願いすることがあります。

  • 工作や調理などの活動で、
    材料費の一部として 300円~500円程度
  • 宿泊を伴う体験学習では、
    5,000円~10,000円程度の参加費

これらは、活動に参加するかどうかを、内容を理解した上で選んでもらうためのものです。


「選ばれにくい体験」だからこそ、参加費を抑える

さい子ども会が行っている体験学習は、流行や楽しさを前面に出すものではなく、子どもや保護者の「経験の引き出し」を広げることを目的としています。

その分、子どもや保護者にとっては、積極的に選ばれやすい活動とは言えないかもしれません。

だからこそ、参加費をできるだけ低く抑えることで、「ちょっとやってみよう」と思える余地が生まれます。

実際に、参加費を抑えることで、多くの子どもたちが新しい経験に触れることができていると実感しています。


寄付・協賛は「楽をするため」ではない

さい子ども会への寄付や協賛は、参加者が金銭的な負担をせずに「楽をする」ためのものではありません。

活動も含めて、さい子ども会に参加すること自体のハードルを下げること。

それが、寄付・協賛をお願いしている一番の理由です。

誰かの善意によって、誰かが参加しやすくなる。
その循環を、地域の中につくっていきたいと考えています。


会費なし運営は、地域への投資

さい子ども会の会費なし運営は、短期的に見れば、効率的とは言えません。

運営には工夫や試行錯誤が欠かせません。

それでも私たちは、誰も排除しない仕組みを先に用意しておくことが、長い目で見て、地域の安心や信頼につながると考えています。

会費を集めないことは、「何もしない」ことではありません。

誰も線を引かれない地域をつくるための、意図的な選択です。


最後に


理念的な期待

さい子ども会では「誰でも参加できる」ことを大切にしています。

参加費を求めない仕組みは、子どもたちの経験機会を平等に広げ、教育格差の縮小につながる可能性があります。

また、保護者にとっても「費用の心配なく子どもが参加できる」ことは心理的負担を軽減し、安心して地域活動に関わるきっかけとなると期待しています。

こうした取り組みは、子ども・保護者・地域社会それぞれに良い循環を生み出す可能性を秘めています。


今後の課題

一方で、これらの効果についてはまだ検証されているわけではありません。

理念としての方向性は明確ですが、今後は「どのように教育格差の縮小に寄与しているか」「保護者の心理的負担がどのように軽減されているか」を評価することが課題です。

また、活動の継続性や地域全体への波及効果を可視化することで、より多くの人に共感していただけると考えています。

これらを少しずつ明らかにしていくことが、次の一歩だと考えています。

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