― 地域団体としての子ども会が、役員制を手放した運営転換の記録 ―
さい子ども会では、役員制が参加のハードルとなり、組織の衰退につながっているのではないかという問題意識から、2023年度に役員制を廃止しました。
役員制廃止にあたっては、「岡山市子ども会育成連絡協議会」からの脱退を含む大きな判断が必要でしたが、その結果、会員数の増加や中学生の継続参加といった変化が見られました。
本記事では、役員を廃止するに至った背景と、その後に起きた変化、そして他の地域団体が検討する際の注意点について、実践事例として整理しています。

1.問題提起
多くの地域団体では、組織を維持するために「役員制」が採用されています。
子ども会も例外ではなく、会長・副会長・会計といった役割を、保護者が持ち回りで担当する形が一般的です。
一方で、子ども会への未加入理由として多く挙げられるのが、「役員をやらなければならないから」「負担が大きそうだから」という声です。これは、子ども会に限らず、自治会やPTAなど、さまざまな地域団体で共通して見られる傾向でもあります。
その結果、参加者が減り、担い手が減り、やがて活動自体が成り立たなくなる。
そうして「衰退」や「解散」に至る地域団体が増えている現実があります。
2.さい子ども会の判断
そこで、さい子ども会では次のような問いを立てました。
組織を維持するための役員制が、
結果として組織の衰退につながっているのだとしたら、
それは本末転倒ではないだろうか。
もし、役員制という仕組みそのものが、本来の目的である「子どもたちのための活動」を遠ざけているのであれば、思い切ってその仕組みを見直す必要があるのではないか。
こうした判断から、さい子ども会は2023年度に「岡山市子ども会育成連絡協議会」から脱退し、役員制を前提としない運営へと舵を切りました。
3.廃止に至った背景
もちろん、さい子ども会でも、役員決めに関する課題がまったくなかったわけではありません。
ただ、自由参加型の子ども会であったこともあり、比較的理解のある世帯が多く、深刻なトラブルに発展することはありませんでした。
しかし、会員数は伸び悩み、「すぐに解散するわけではないが、明らかに衰退している」と言える状況が続いていました。
内部的に特に負担が大きかったのが、「岡山市子ども会育成連絡協議会」を担当する役員の役割です。
具体的には、子どもたちのソフトボール大会の運営などが割り当てられており、ソフトボールに関わっていない保護者であっても、「協議会担当」という理由で試合運営に携わらなければならない状況がありました。
こうした構造的な負担は、協議会に所属したままでは根本的に改善できないと判断し、脱退を含めた大きな見直しを実行に移しました。
4.実際どうなったか
結果として、さい子ども会の会員数は増加しました。
2025年末時点で、子ども会員は102人となり、少なくとも「衰退」からは脱却できたと考えています。
また、これまでは中学生になると退会するのが一般的でしたが、中学生になっても子ども会員として関わり続ける子どもたちが増えました。
輪番制の役員がなくなったことで
「仕方なく関わる」大人が減り、
「やりたいことから始める」活動に進みやすくなるという、
前向きな変化も生まれています。
5.トラブルの有無
現在のところ、役員廃止による大きなトラブルは発生していません。
一方で、今後の課題として、運営を継続的に担う仕組みづくりは検討が必要だと感じています。
この点については、デジタルアーキテクチャの考え方も取り入れながら、中期的な視点で模索していく予定です。
6.調整が必要だったこと
当然ながら、「岡山市子ども会育成連絡協議会」の下部組織(学区子ども会)との調整は必要でした。
脱退の直前に突然方針転換したわけではなく、数年かけて協議会の活動に対して感じていた違和感を内部で整理し、実際に変更できる点は少しずつ変更してきました。
その上で、異議を感じていた点、すでに変更していた点を丁寧に説明し、
一定の理解を得た上で脱退に至っています。
7.他団体への示唆
さい子ども会としては、ボランティアによって成り立つ組織において、役員の輪番制は負担が大きく、継続性を損なう要因になりやすいと考えています。
ボランタリー組織の目標は
「組織を維持すること」ではなく、
「目的を達成すること、目的に近づくこと」
にあるはずです。
その目的に近づけない仕組みであれば、たとえ長年続いてきたものであっても、見直す価値はあるのではないでしょうか。
8.材料の一つとして
もちろん、ここまでの変更を行うのは簡単なことではありません。
地域や関係性によっては、現実的でない場合も多いと思います。
場合によっては、一度活動を整理し、解散という選択をした上で、改めて別の形で立ち上げ直す方が健全なケースもあるでしょう。
この記録は、「こうすべき」という答えを示すものではありません。
同じような課題を感じている方が、考えるための材料の一つとして読んでいただければ幸いです。
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