子ども会という仕組みで実践してきた、地域団体運営の試行錯誤

このページの目的

地域団体の持続や再活性化は、制度や仕組みを整えるだけで実現できるものではありません。

運営に関わる人が「どのような地域であってほしいか」という理念を共有し、それを支える現実的な運営構造があってこそ、活動は続いていくと私たちは考えています。

さい子ども会では、輪番や義務感に依存しない運営を模索しながら、デジタル化による負担軽減、非同期での情報共有、活動の棚卸しと見直しを重ねてきました。

本ページでは、子ども会という身近な地域団体の実践を通じて得られた知見を、地域団体支援や地域福祉施策を検討する行政・関係機関の皆さまにも参照いただける形で整理・公開しています。

実践を、ひらかれた形で共有する

このページで紹介している内容は、さい子ども会だけの特別な取り組みではありません。

少子化や担い手不足、役員負担の偏りといった課題は、多くの地域団体が共通して抱えているものです。

さい子ども会では、こうした状況の中で「どうすれば無理なく続けられるか」「どこまでを団体として担うのか」を、現場での試行錯誤を通じて考えてきました。

ここに掲載している運営方針や資料、データは、その過程で蓄積された実践知です。

そのため、特定の地域や団体の条件に依存しすぎない形で整理し、他の子ども会や地域団体、支援に関わる行政・関係機関の皆さまが、自身の状況に照らして参考にできることを意識しています。

なお、このページは、おかやまSDGsフェア2025の展示資料として公開したポスターに基づいて掲載しています。

おかやまSDGsフェア2025出展資料

はじめに

地域団体の再生は、制度を整えれば実現するものなのでしょうか。

仕組みを整え、役割を回しても結局、組織を維持すること自体が目的になっていないでしょうか。

そうした中で、衰退や解散に直面する地域団体が少なくない現実を、私たちはどのように受け止めればよいのでしょうか。

まず、現場の声を知る

当時のさい子ども会は、まだ人数も少なく、他の地域団体と同じように衰退し、解散すら危ぶまれる状況でした。

そのため、私たちは、地域の活動に関心を持ちながらも子ども会には加入していない保護者の声を知るため、ハロウィンイベントに参加した保護者を対象にアンケート調査を行いました。

試行錯誤として行った取り組み

アンケートからは、これまでの報告と同様に、圧倒的に役員が負担となりました。
とはいえ、突然役員を廃止することは現実的ではありません。

そこでまず、できるところからの取り組みとして、子ども会らしく、体験学習の充実を試みてみました。

一方で、当時は新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの地域活動が中止となり、子ども同士や保護者同士の交流の機会が大きく失われていました。

さらに、自宅にこもることも増え、子ども達の遊ぶ機会や、保護者同士の交流も「皆無」と言える状況にまでなっていました。

そこで、子ども会への加入に関わらず参加できる「さい子ども会フリースペース」や「さいハロ。Win」を、地域のつながりづくりとして開始しました。

これまでの地域のつながりづくりは、さい子ども会の会員を対象とした共益的な活動が中心でしたが、誰でも参加できる活動を始めたことで、地域の方へ、さい子ども会の認知も広がりました。

ですが、正直なところ、体験学習の充実は新規参加者の増加にはつながっていませんでした。

完全に自由な役員制の導入と参加者の増加

活動の増加は参加者の増加につながらず、運営体制の見直しが必要と判断した事から、2022年に完全に自由な役員制を導入しました。

また、新型コロナウイルス感染症も収束し、さらに、これまでの地域のつながりづくり活動で認知が広がったこともあり、2023年のさいハロ。Winから参加者が大きく増加しました。

そして、2022年には完全に自由な役員制を導入するために、さい子ども会は岡山市子ども会育成連絡協議会から脱会しています。

岡山市子ども会育成連絡協議会の重要性も理解していますが、協議会の役員担当を廃止するためには必要なことでした。

参加者数の推移は、必要なときに、必要な人が関われる「地域の余白」が、地域の中で継続的に機能しているかを確認するための一つの指標と位置づけています。

実践から見えてきた事

役員の完全な自由化や、誰でも参加できる活動への転換によって、さい子ども会への関わり方は大きく変わりました。

参加者が増えたことは、「地域活動そのものが不要になった」のではなく、これまでの仕組みや関わり方が、多くの人にとって負担になっていたことを示していると感じています。

役割を固定しないこと、参加を強制しないことは、活動への関心や必要性を下げるどころか、「無理なく関われるなら参加したい」という人の存在を可視化しました。

また、すべてを維持し続けるのではなく、活動や運営のあり方を見直すこと自体が、団体を続けるために必要な選択であることも実感しています。

地域団体の再生には、仕組みを整えること以上に、どんな価値を大切にしたいのかを共有し、変化を受け入れる姿勢が欠かせない。

これが、現場の実践を通して得た最も大きな気づきです。

終わりに

地域団体の再生に、決まった正解はありません。
さい子ども会の取り組みも、数ある実践の一つです。

しかし現場で見えてきたのは、制度や役割を整えるだけでは、
人が関わり続ける組織にはならないということでした。

「なぜ続けたいのか」「何を大切にしたいのか」。

その想いが共有されてこそ、仕組みは意味を持ちます。

無理のない関わり方を選べること。
変化や見直しも含めて考えること。

その積み重ねが、必要とされる活動を残していくと、
私たちは考えています。


課題解決の糸口(実践報告・提案)

地域の課題に向き合いながら行ってきた、さい子ども会の実践と運営の記録です。

役員制の廃止


「負担を減らす」こと自体を目的にしたものではなく、継続的な関わりを生むための試行錯誤の結果をまとめています。

役員を廃止した子ども会が、衰退から抜け出すまで― 地域団体としての子ども会が、役員制を手放した運営転換の記録 ―

会費を集めない運営


作成会費を集めないという選択から見えてくる、さい子ども会の地域づくりの考え方をまとめています。

なぜ、さい子ども会は会費を集めないのか― 見えにくい社会的価値を大切にする運営の考え方 ー

本ページで紹介している取り組みの背景や、運営に関する試行錯誤については、代表個人の記録として外部で整理・発信している内容もあります。
代表個人の記録はこちら